「ESAT-Jって、結局どれくらい大事なんですか?」
東京都の公立中学校に通うお子さんがいるご家庭で、3年生の秋によく出てくる質問です。学校からは案内が来るけれど、ふだんの定期テストとも模試とも違う形式で、親の世代が受けた経験もない。だから、何を手伝えばいいのかが分からない、という状態になりやすいところです。
結論から言うと、ESAT-Jは都立高校入試の総合得点1020点のうち20点を占めるテストで、2026年度は2026年11月22日(日)に行われます。 そして公表されている結果を見ると、2025年度は受験した中学3年生の47.2%が最上位のA(=20点)を取っています。 満点を取ること自体は特別ではなく、取れなかったときに差がつく、という性質のテストになってきました。
この記事では、ESAT-Jがどんなテストなのか、Part A〜Dで何が出るのか、どう採点されて入試の点数に変わるのか、そして本番までの残り期間に家で何ができるのかを、東京都教育委員会が公表している実施要項と採点基準をもとに整理します。中学1年生・2年生が受けるESAT-J YEAR 1・YEAR 2についても触れます。
※この記事は2026年11月時点の情報をもとに作成しています。日程、出題形式、入試での扱いは年度によって変わるため、受験にあたっては必ず東京都教育委員会の最新の案内をご確認ください。
mokuzi
ESAT-Jとは、東京都の中学生が受ける英語のスピーキングテスト
まず、名前と仕組みから整理します。
正式名称は「中学校英語スピーキングテスト」
ESAT-JはEnglish Speaking Achievement Test for Junior High School Studentsの略で、「イーサット・ジェイ」と読みます。日本語の名称は「中学校英語スピーキングテスト」です。
東京都教育委員会が、都内の公立中学校、中等教育学校前期課程、義務教育学校後期課程、特別支援学校中学部に在籍する生徒を対象に実施しています。実施要項では、これらをまとめて「都内公立中学校等」と呼んでいます。
実施の目的として挙げられているのは、次の3つです。
- 「話すこと」の指導を充実させること。 聞く・読む・話す・書くの4技能のうち、授業で測りにくかった「話すこと」の習得状況を検証する
- 都立高校入試で「話すこと」の評価として使うこと。 中学3年生のテスト結果を、入学者選抜で活用する
- 高校入学後の指導に生かすこと。 入学者の結果を踏まえて、高校での4技能の指導を組み立てる
つまりESAT-Jは、入試のためだけに作られたテストではなく、授業の成果を測る調査としての性格と、入試の一部としての性格の両方を持っています。 ここが、英検のような「受けたい人が受ける検定」との大きな違いです。
YEAR 1・YEAR 2・YEAR 3の3つがある
ESAT-Jは学年ごとに分かれていて、入試に関わるのは3年生が受けるYEAR 3だけです。

ESAT-J YEAR 3(Y3) は中学3年生が対象です。日曜日に都立学校、大学、民間施設などの会場へ行き、事業者が用意するタブレット端末を使って受けます。結果は都立高校入試に使われます。
ESAT-J YEAR 1・YEAR 2 は中学1年生・2年生が対象で、2月から3月にかけて、それぞれの中学校で実施されます。 会場へ出向く必要はありません。評価は「Excellent!(目標とするレベルを超えている)」「Good!(目標とするレベルにある)」「You can do it!(目標とするレベルまでもう少し)」の3段階で、入試には使われません。
2025年度の受験人数は、YEAR 1が66,748人、YEAR 2が66,210人、YEAR 3が70,489人でした。学年ごとにおよそ6万6千人から7万人が受けている計算になります。
中学1年生・2年生の保護者が知っておくとよいこと
YEAR 1とYEAR 2は入試に直接は関係しませんが、同じ形式のテストを3年間かけて3回受ける設計になっています。 公表されている結果では、同じ学年の生徒を追ったときに、1年生から2年生、2年生から3年生へと、全体の分布がCEFR-Jレベルで1段階ずつ上がっていました。
具体的には、2025年度の3年生は、CEFRのA2レベル以上だった生徒が2年生のときに3.9%、3年生で47.2%という変化をしています。3年生になってから急に伸びているように見えますが、これは3年間の授業の積み重ねが形になった時点が3年生だった、という読み方のほうが自然でしょう。
なお、1年生のYEAR 1についてA2以上の数字が出てこないのは、YEAR 1が測る範囲の上限がA1.3までに設計されているためです。「A2に届いた生徒がいなかった」という意味ではありません。
中学1年生・2年生のうちは、YEAR 1・YEAR 2の結果を「いまの立ち位置を知るための材料」として見ておくと、3年生になってから慌てずに済みます。
2026年度の日程と、当日の流れ
2026年度(令和8年度)のESAT-J YEAR 3の日程は、次のとおりです。

- 本試験日: 2026年11月22日(日)
- 追・再試験日: 2026年12月13日(日)
- 結果の公開(生徒用・保護者用マイページ): 2027年1月6日(水)/追・再試験分は2027年1月22日(金)
- 個人レポートの発送: 2027年1月18日(月)/追・再試験分は2027年1月28日(木)
受験の申込は、都内公立中学校等の生徒の場合、通常申込が2026年7月2日から9月16日まででした(このあとに追加申込の期間も設けられています)。学校を通じて手続きするため、保護者が個別に申し込む場面は基本的にありません。
当日は、入室から解散まで約3時間40分かかる
意外と知られていないのが、当日の拘束時間です。集合時刻は午後0時30分ですが、受験教室への入室は正午から始まります。実施要項に書かれている時程を整理すると、次のようになります。

- 正午〜午後0時30分: 会場に到着し、受験教室に着席する(必要に応じて軽食をとってよい)
- 午後0時30分〜午後1時: 着席し、携帯電話などの通信機器を提出する
- 午後1時〜午後2時5分: 前半のグループが受験。後半のグループは自習
- 午後2時5分〜午後2時20分: 教室で待機
- 午後2時20分〜午後3時25分: 後半のグループが受験。前半のグループは自習
- 午後3時25分〜午後3時40分: 退出
前半と後半のどちらになるかは、当日に会場で発表されます。 選ぶことはできません。つまり、自分の試験が終わったあと1時間半ほど、教室で自習して待つ可能性があります。 テスト自体は準備時間を含めて65分程度ですが、会場にいる時間は3時間を超えます。
公共交通機関の遅れなどで、実施時刻が最大1時間程度繰り下がることもあると明記されています。終わる時間が決まっているつもりで予定を入れると、ずれることがあります。
持ち物と服装に、ふだんのテストにない決まりがある
ここは見落とされやすいので、実施要項の記載をそのまま挙げます。

- 受験票(事業者から学校へ11月上旬に送付予定)
- 受験案内(2026年10月下旬以降に中学校を通じて配布予定)
- 本人確認書類(生徒手帳・身分証明書など)
- 筆記用具(ただし、試験中に筆記用具でメモを取ることはできません)
- 上履きと、靴を入れる袋(必要な場合は受験票に記載)
- 自習用の教材や書籍(電子辞書やタブレットなどの電子機器は不可)
服装は、学校指定の標準服などを着ることが望ましいとされています。そして、英文が表示されている衣類は着用できません。 ロゴ入りのパーカーやTシャツを着ていくと困ることになります。ただし学校名やブランド名は除く、とされています。
もうひとつ注意したいのが、試験中にメモを取れない点です。筆記用具は持っていきますが、問題を聞きながら書き留めることはできません。準備時間は頭の中で整理する時間になります。この条件は、家で練習するときにそのまま再現しておくと役に立ちます。
会場への移動は、原則として徒歩か公共交通機関です。自転車での移動は禁止されています。
結果は2027年1月に返ってくる
テストの結果は、2027年1月6日(水)に生徒用・保護者用のマイページで公開され、紙の個人レポートは2027年1月18日(月)に発送されます。
個人レポートは、生徒1人につき2枚送られてきます。1枚は本人用、もう1枚は都立高校提出用です。都立高校提出用は中学校が保管し、第一次募集・分割前期募集の出願の際に高校へ提出します。
令和9年度(2027年2月)の都立高校入試では、第一次募集・分割前期募集の書類提出が2027年1月29日から2月4日までの予定です。個人レポートの発送(1月18日)が先にあるので、日程としては間に合う設計になっています。
返却される内容は、ESAT-J GRADE、参考CEFR-Jレベル、スコア、該当するGRADEのCAN-DO STATEMENTS、学習アドバイス、CAN-DO STATEMENTS一覧です。点数だけでなく、「いま何ができる状態か」と「次に何をすればいいか」が言葉で書かれて戻ってきます。
また、保護者がマイページから申請すると、本人が話した音声データを確認できます。 確認できる期間は2027年4月30日までです。自分の解答を聞き直せる機会はなかなかないので、高校入学後の英語学習の材料として使えます。
出題形式は、Part A〜Dの4つ・全9問
ESAT-J YEAR 3の中身を見ていきます。タブレット端末とヘッドセットを使い、画面の指示に従って声に出して答える形式です。

Part A
英文を声に出して読む問題です。採点で見られるのは「発音と強勢」と「読む速さや間の取り方」の2点で、内容を理解しているかではなく、聞き手に意味が伝わる読み方になっているかが問われます。
採点基準には、発音の誤りが多少あっても聞き手が十分に理解できる範囲なら上位の評価になる、と書かれています。ネイティブのような発音である必要はありません。
2025年度の結果では、授業改善のポイントとして「複数の音節からなる語の強勢の位置(例:interested、environment)」と「音のつながり(例:she has a lot of pictures)」が挙げられていました。単語単位ではなく、語のどこを強く読むか、語と語がどうつながるかを意識する、ということです。
Part B
図やイラストで示された情報を読み取り、質問を聞いて答える問題が4問と、自分から質問する問題が1問、合わせて5問です。
2025年度に出た質問は、次のようなものでした。
- No.1
Which do you want to try? - No.2
Why do you want to try that? - No.3
What sports do you like to watch? - No.4
What is the first thing you do every morning? - No.5 自分から質問する(テーマは「日本の中で行ってみたい場所」)
難しい英語は求められていません。 採点基準では、5問すべてに場面に応じた適切な解答をしていて、文法と語彙を適切に使えていれば最上位(参考CEFR-J A2.1)とされています。評価の観点は「コミュニケーションの達成度」「言語使用」「音声」の3つです。
つまずきやすいのは、No.5の「自分から質問する」問題です。 答えるのではなく、聞く側に回ります。疑問詞を使って文を組み立てる練習をしていないと、ここで止まります。

Part C
4枚のイラストを見て、一連の出来事を順番に説明する問題です。2025年度は「先週の出来事を表す4枚のイラスト」でした。
採点基準を読むと、評価の分かれ目がはっきりしています。4枚すべてについて、重要なポイントに触れながら、時間を追って順序立てて説明できているかどうかです。4枚のうち1枚の説明が不十分だと、そこで一段下がります。
最上位の解答には、出来事の流れを示す語句(After that、So など)と、場所を示す語句(In the room など)が適切に使われていた、と公表されています。
Part D
与えられたテーマについて、自分の意見とその理由を述べる問題です。画面には3つのヒントが示されますが、ヒントを使わず自分の考えを述べてもかまいません。
最上位の解答に共通していたのは、In my opinion, で意見を述べ、For example, で具体例を加え、So, で結論をまとめるという形でした。採点基準でも、意見に理由や例を加えて明確に述べているかが分かれ目になっています。
内容の良し悪しは採点されません。 採点基準に書かれているのは、意見を述べているか、理由や例を加えているか、接続詞などで関連づけているか、文法と語彙が適切か、です。立派な意見を考える必要はなく、言える意見を選んで理由を足すほうが点になります。
試験時間は65分程度、2つの組に分かれて受ける
受験者は前半・後半の2組に分けられ、準備時間を含めて各65分程度で実施されます。受験上の配慮を申請している受験者は、前半での実施と決まっています。
採点はESAT-J GRADEの6段階
ESAT-J YEAR 3の結果は、A・B・C・D・E・Fの6段階(ESAT-J GRADE)で返ってきます。

採点はIRT(項目応答理論)という方法で統計的に処理されます。測定する範囲はCEFRのA1程度からA2程度までです。
参考CEFR-Jレベルとの対応は、公表資料によると次のようになっています。
- A: A2.2またはA2.1
- B: A1.3
- C: A1.2
- D: A1.1
- E: Pre A1
- F: グレードなし
スコアは100点満点で算出され、2025年度はスコア80以上の生徒がGRADE Aに当たりました。
評価の観点は、Part Aが「音声」の1つ、Part B・C・Dが「コミュニケーションの達成度」「言語使用」「音声」の3つです。どのPartでも「音声(発音、話す速さ、間の取り方)」が見られていることは、押さえておきたい点です。
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ここが、保護者がいちばん知りたいところだと思います。

GRADEは、そのまま点数に変わる
ESAT-J GRADEは、都立高校入試で次のように点数化されます。
- A: 20点
- B: 16点
- C: 12点
- D: 8点
- E: 4点
- F: 0点
学力検査の得点(全日制は原則5教科×100点)と調査書点を7:3の比で合わせた1000点に、このESAT-Jの点数を加えて、総合得点1020点満点で選抜されます。この換算と満点は、2026年9月17日に公表された「令和9年度 東京都立高等学校入学者選抜実施要綱」でも変わっていません。
比率には例外があります。全日制でも芸術および体育に関する学科は6:4、定時制は7:3か6:4のどちらかです。受検者ごとに7:3と10:0で計算して高いほうを採る学校もあり、傾斜配点を行う学校もあります。志望校の扱いは実施要綱の別表で確認してください。
また、点数化したESAT-Jの結果は、原則として英語の学力検査を実施する都立高校でのみ選考に使われます。
割合で見れば20点は全体の約2%です。ただし、都立高校入試は1点差で合否が分かれる世界なので、4点刻みの差は小さくありません。 GRADEがひとつ下がると4点、ふたつ下がると8点の差がつきます。
2025年度は、47.2%がAを取っている
このテストの性質を理解するうえで、いちばん大事なのが結果の分布です。東京都教育委員会が公表した2025年度の実施状況では、ESAT-J GRADEの割合は次のようになっていました。

- A(20点): 47.2%
- B(16点): 29.0%
- C(12点): 13.4%
- D(8点): 5.9%
- E(4点): 4.0%
- F(0点): 0.5%
A評価だけで半数近く、A・Bを合わせると76.2%です。 そして平均スコアは74.9で、前年度の68.3から6.6ポイント上がっています。
さらに年度ごとの推移を見ると、A評価の割合は2022年度16.8%、2023年度25.3%、2024年度31.3%、2025年度47.2%と、3年間で約2.8倍になりました。
この数字の読み方は2つあります。
ひとつは、満点を取ること自体は、もう特別ではないということ。半数近くが20点を取っている以上、Aを取っても他の受験生に差をつけられるわけではありません。
もうひとつは、だからこそ取りこぼしたときの影響が相対的に大きくなるということです。周りの多くが20点を持っている中で16点や12点になると、その4点・8点を学力検査で埋めることになります。
ESAT-Jは「加点を狙うテスト」というより、「落とさないようにするテスト」に近づいてきたと見るのが、いまの分布に合った理解だと思います。
対象にならない学校がある
注意が必要なのは、すべての都立高校でESAT-Jの結果が使われるわけではない点です。実施要項では、次の学校・課程が対象外と明記されています。
- エンカレッジスクール
- チャレンジスクール
- 英語の学力検査を実施しない学校
- 自校作成問題によりリスニングテストを実施しない定時制課程
また、推薦に基づく選抜や、分割後期募集・第二次募集でも、出願時に個人レポートを提出する必要はありません。ただし、合格して入学する場合は、高校が指定する期日に「都立高校提出用」の原本または写しを提出することになります。 出願時に不要なだけで、提出そのものがなくなるわけではありません。
志望校がどちらに当たるかは、「令和9年度 東京都立高等学校入学者選抜実施要綱・同細目」で確認してください。
受けなかった場合はどうなるか
国私立中学校や都外の中学校に通っていてESAT-Jを受けていない生徒、やむを得ない理由で欠席した生徒については、入学者選抜で不利にならないように扱われます。

仕組みはこうです。まず、英語の学力検査の得点で受検者に順位を付けます。 そして、その生徒の上下5名ずつ(合計10名)以上のESAT-J結果を点数化して平均し、その平均値を「仮のスピーキングテスト結果」とします。平均値が18点以上ならA、14点以上18点未満ならB、10点以上14点未満ならC、6点以上10点未満ならD、2点以上6点未満ならE、2点未満ならF、という形でGRADEに戻されます。
つまり、英語の学力検査で高い点を取っていれば、仮のESAT-J結果も高くなるという関係です。
ただし、申込をしたのに、事故や病気などのやむを得ない理由がなく欠席した場合は、この措置の対象になりません。 その場合、仮の結果は算出されず、加点もされません。
もうひとつ注意したいのが、都内の公立中学校に在籍している生徒の場合は、「結果活用に関する措置申請承認書」を都立高校へ提出していることが条件になる点です。国私立中学校や都外の中学校に在籍している生徒は、申請なしで対象になります。
なお、都内国私立中学校に在籍していて都立高校を受検する生徒は、ESAT-J YEAR 3を受験することができます。2026年度は、本試験向けの申込が2026年9月1日から10月8日まで、追・再試験向けが10月9日から11月20日までの設定でした。
差がつくのは、音読ではなく残りの3つ
ここからは、本番までに何をすればいいかの話です。2025年度の結果には、対策の優先順位を決める手がかりがあります。

東京都教育委員会が公表したPartごとの評価分布(★★★が最上位)は、次のとおりでした。
- Part A 音読: 91.1%が★★★
- Part B やり取り: 51.0%が★★★
- Part C ナレーション: 45.6%が★★★
- Part D ショートスピーチ: 47.7%が★★★
音読はすでに9割が最上位に届いています。 一方、残りの3つは半分前後です。つまり、音読の練習に時間をかけても差はつかず、差がついているのはPart B・C・Dのほうだということになります。
これは学年が上がっても変わらない傾向です。最上位(★★★)の割合を比べると、音読はYEAR 1で80.3%、YEAR 2で87.1%、YEAR 3で91.1%。一方、やり取り(YEAR 1・YEAR 2では「会話」)はYEAR 1で5.5%、YEAR 2で16.8%、YEAR 3で51.0%です。音読は中学1年生の時点でほとんどの生徒が到達していて、やり取りのほうは3年かけて伸びていくという形になっています。
残り期間が限られているなら、Part C(4枚のイラストを順番に説明する)とPart D(意見と理由を述べる)から手をつけるほうが、効率がいいと言えます。
本番までに、家でできること
Part B・C・Dに共通しているのは、「決まった型に沿って、ひとまとまりの英語を声に出す」という作業です。知識を増やすより、口に出す回数を増やすほうが効きます。

まず、答える順番を決めておく
Part C/Dは、話す順番をあらかじめ決めておくだけで、本番の迷いが減ります。
- Part C: 1枚目から順に、
First,→Then,→After that,→Finally,のような流れを示す語句でつなぐ - Part D:
In my opinion,で意見を言う →For example,で理由か具体例を足す →So,でまとめる
Part Cについても、After that, や So のような流れを示す語句を使っていた解答が最上位に多かった、と報告されています。型を決めておけば、テーマが何であっても使い回せます。Part Dのこの順番は、公表された採点結果報告で最上位の解答に実際に見られたと書かれているものです。
録音して、自分で聞き直す
一人でできて、いちばん効果が分かりやすいのが録音です。スマートフォンの録音機能で十分です。
聞き直すときに見るのは、英語が合っているかどうかではなく、途中で止まっていないか、同じ言い直しを繰り返していないか、最後まで言い切れているかです。採点基準でも「間の取り方」「話す速さ」が評価の観点に入っています。
本番と同じ条件で1回やっておく
東京都教育委員会のホームページでは、過去の問題と解答例、採点結果報告書、解説動画が公開されています。 直前にやっておく価値があるのは、次の条件を再現した1回です。
- メモを取らない。 本番では筆記用具でメモできません
- 準備時間を計る。 考える時間は決まっています
- ヘッドセットかイヤホンを使う。 自分の声が聞こえにくい状態に慣れておきます
- 最後まで黙らない。 途中で止まるより、簡単な文で言い切るほうが評価されます
とくに最後のひとつは、採点基準を読むと納得できます。 「力を測るための十分な量の発話がない」場合はグレードなしになる一方、文法と語彙に多少の基礎的な誤りがあっても、聞き手が十分に理解できれば上位の評価とされています。黙るのがいちばん損です。
英検の二次試験とは、練習の作り方が違う
英検の二次試験(面接)を受けたことがあるお子さんは、同じ感覚で臨もうとすることがあります。ただ、この2つは条件がかなり違います。

英検の二次試験は面接官と向かい合い、相手の反応を見ながら進みます。聞き取れなかったときに聞き返すこともできます。一方ESAT-Jは、タブレットとヘッドセットに向かって一人で話します。 相手の反応はなく、聞き返すこともできません。決められた時間の中で、自分で話し始めて自分で終える必要があります。
そのため、ESAT-Jの練習では「相手がいない状態で話し切る」ことそのものが練習の対象になります。 録音して一人で話す練習に意味があるのは、このためです。
英検の二次試験に向けた家庭での練習については、英検の二次試験で何が見られるのか、3週間で何をすればいいかをまとめた記事があります。あわせて読むと、2つの試験の違いが分かりやすくなると思います。
話す相手が必要になったときに
ここまで書いてきたことは、ほとんどが一人でできる準備です。ただ、Part Bの「やり取り」だけは、一人の練習に限界があります。 質問を聞いて、その場で答えを組み立てて、さらに自分からも質問する。この往復は、相手がいないと再現しにくい部分です。
学校の授業、塾、オンライン英会話など、英語で話す機会を定期的に持てる場所があれば、そこで繰り返すのがいちばん早い方法です。
eスポーツ英会話 eスピ! も、その選択肢のひとつです。ゲームをしながら英語で話すオンラインのレッスンで、3〜4名のグループでDiscordを使って行います。対象は小学生以上、月4回・1レッスン80分以上で、月額9,900円(税込10,890円)、入会金は0円です(2026年11月時点)。
ESAT-Jの対策講座ではありません。 ただ、ゲームの中で仲間とやり取りをする場面は、「聞いて、その場で返す」という点でPart Bに近い使い方になります。テスト前の短期対策というより、英語を話すこと自体に慣れておきたい場合に向いています。
実際にスピーキングの力が伸びた例として、「英検準2級スピーキング満点!1度の不合格を乗り越えた中1男子の「生きた英語」と大きな夢」で、受講生の話を紹介しています。
英語の検定をもうひとつ持っておきたい場合は、英検をいつから始めるか、入試で使えるまでの道すじをまとめた記事もご覧ください。
申し込みは「まずは事前登録!」のボタンから行います。コースによっては応募が多く、事前登録のうえで新規募集の案内を待つ形になることもあります。募集状況は月ごとに変わるため、最新の状況はeスピ!の公式サイトでご確認ください。
まとめ
ESAT-Jについて、押さえておきたい点を整理します。

- 2026年度の本試験は2026年11月22日(日)、追・再試験は12月13日(日)。 結果はマイページで2027年1月6日、個人レポートは1月18日発送
- 当日は正午の入室から午後3時40分の解散まで約3時間40分かかる。 前半・後半のどちらになるかは当日発表で、待ち時間に自習用の教材が要る
- 英文の入った衣類は着用できず、試験中に筆記用具でメモも取れない
- 出題はPart A〜Dの4つ、全9問。 音読2問、やり取り5問、ナレーション1問、ショートスピーチ1問
- 評価はA〜Fの6段階で、都立高校入試では20点・16点・12点・8点・4点・0点に換算される。 総合得点は1020点満点
- 2025年度はA評価が47.2%、A・Bで76.2%。 満点は特別ではなく、落とすと差がつく性質になってきた
- 差がついているのはPart B・C・D。 音読はすでに91.1%が最上位に届いている
- 練習は「型を決める」「録音する」「本番と同じ条件で1回やる」の3つから
お子さんが受けるのは、知識を問うテストではなく、その場で英語を口に出すテストです。前日に覚えることはあまりありません。できるのは、話し始めるまでの時間を短くしておくことと、途中で黙らずに言い切る練習を重ねておくことです。



